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離婚はどういうときにできるの?~離婚原因について~

2017年8月26日 (土)

1 離婚原因が求められるのは裁判のときだけ
 離婚ができる条件は特にありません。
 離婚とは、婚姻関係を解消するという合意ですので、夫婦双方が婚姻関係の解消に合意するのであれば、離婚届に必要事項を記入して署名押印の上提出することで、離婚が成立します。
 ただ、さまざまな理由から離婚について合意に至らない場合が問題となります。
 実際、離婚自体に反対の場合の他に、離婚はしてもいいけど財産をたくさんもらえるのが条件だとか、養育費は払いたくないとかの付随した事項で合意できずに離婚届が作成できない場合もあります。
 そういった場合に備えて、民法が裁判離婚の場合について離婚が認められる原因を規定しています。
 ただし、あくまで離婚訴訟の場合ですので、以前のコラムにも書いたとおり、調停では以下のような離婚原因がなくても離婚できます。
 
2 民法で定められた離婚原因
 
 民法 第770条 第1項
 
  夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
  一  配偶者に不貞な行為があったとき。
  二  配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  三  配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
  四  配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
  五  その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
 
(1)「配偶者に不貞な行為があったとき」
 不貞行為とは、配偶者のある者が自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいいます。
 いわゆる不倫のケースはこの第1号に該当します。
(2)「配偶者から悪意で遺棄されたとき」
 悪意の遺棄とは、正当な理由なく、夫婦としての同居義務や協力義務を履行しないことをいいます。
 悪意の遺棄は、別居した理由や生活状況、別居期間の長短や生活費等の援助の有無などから総合的に判断されることになります。
(3)「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」
 この条項は、様々な事情で婚姻関係が破綻し回復できない場合に適用されます。
 破綻しているかどうかについては、婚姻中の一切の事情を考慮して判断されます。
 配偶者暴力(DV)などは、この第5号に該当します。
 よくご相談の際に出る理由として性格の不一致があります。
 しかし、性格の不一致だけでは離婚が認められる可能性は極めて低いと言わざるをえません。
 (もっとも、性格の不一致以外の理由も含めて複合的な理由があれば、離婚が認められる場合もあります。)
 
3 不倫などをした者からの離婚の請求は認められる?
 不倫などをした側の配偶者のことを法律上、「有責配偶者」といいます。
 自ら離婚の原因となる行為をした者から離婚を申し出ることが許されるのかという問題があります。
 この問題について、最高裁判所は、有責配偶者からの離婚請求は許されないとの立場を取っていました。
 現在は、判例が変更され、別居期間や未成熟子の有無などを踏まえて、離婚が許されるかどうかが判断されることになります。
 もっとも、別居期間もある程度長期間に渡っていることが前提となるでしょう。
 
4 証拠はありますか?
 相手方と離婚について同意できる場合には問題がありません。
 しかし、そうでない場合は離婚原因があることと同じくらい証拠があるかどうかも重要になります。
 裁判の際には証拠に基づいて離婚原因の有無を判断されます。
 なので、証拠がなく相手方も離婚の原因について否定している場合には、離婚が認められないことも十分考えられます。
 メールや写真などの証拠がある場合には大切に保存し、間違っても怒りに任せて処分するようなことのないようにしてください。
 
5 最後に
 どのような場合に、離婚原因に当たるのかの判断に迷う場合も多々あります。
 また、証拠としてどのようなものが有効なのかも判断できない場合もあるでしょう。
 このような疑問が生じましたら、お早めにご相談いただくことをお勧めします、


カテゴリー: 離婚

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